定額減税をパターンごとにサクッと解説【目安5分】
今回は2024年(令和6年)の1年だけ実施される定額減税について解説していきます。
丁寧に解説しているところが多く、わかりにくかったり理解するに時間がかかると言われるので要点だけを抑えてサクッと解説していきます。
それでも1から解説すると長くなりそうなので、各パターンごとに分けて5分で理解できるようにします。
目次より自分と同じパターンを探してその部分だけ読んでもらえば自分が定額減税でどのような流れになるか理解できるはずです。
それではどうぞ!
定額減税の概要【全体の流れ】
とりあえず全体の流れをつかみたい人向けになります。
まず今回の定額減税というのは今年徴収される税金を減らしますという施策になります。
内容は所得税が3万円・住民税が1万円の減額となります。
これが1人当たりの金額で扶養者がいると同じ金額が追加となります。
所得税の定額減税
そしてこの減税方法が所得税は6月以降に支給される給与や賞与から減税。これが2024年の12月支給の給料まで減税の金額がなくなるまで続きます。
仮にその時までに減税が終わらなかった場合は来年に1万円単位で支給される予定となっています。もし2,000円が減税しきれなかった場合は切り上げて1万円の支給になるようです。
住民税の定額減税
住民税は6月は一律0円で7月から1万円減額された金額を11ヶ月で割って徴収されます。
これは各市町村が計算して明細を送ってきてくれるのでその通りに進むことになります。
そのため所得税に関しては素直に減税されるのですが、住民税に関しては1万円の減額だと12ヶ月で分割していたものが11ヶ月になる関係で手取りが減ることがあります。6月分は徴収されないので変な感じになりますね。
扶養人数で加算
ここまでのまとめ
簡単にまとめると
①住民税は各市町村が計算してくれた通りに徴収。
②所得税は給料計算をしている人が扶養人数などを考慮し、基準の金額まで減額するまで減税。減税しきれなかった分は翌年に支給予定。
③解説していませんでしたが個人事業主の方は給料ではないので、確定申告で調整。
こうなります。
下記に国税庁のHPを記載しておきますので、
定額減税に係る源泉徴収事務(動画)|国税庁 (nta.go.jp)
次から各パターンごとに分かりやすく解説していきますね。
定額減税パターン① 扶養者なし
このパターンの人は所得税が3万円・住民税が1万円の控除となります。
所得税は6月支給の給料・賞与から順々に控除されていき、12月最後に支給される給与・賞与まで控除されます。
それまでに3万円に到達すれば以降は普通に徴収されるようになり、もし控除額が余ってしまえば来年に余った分を1万円単位になるまで切り上げて支給されます。そのため金額は1万円・2万円・3万円のどれかになります。
住民税は通常は6月から前年の所得に応じて課税された住民税を12ヶ月で分割した金額が徴収されていきます。ただ今年は6月分は0円で7月から新しい金額で徴収されます。
そのため6月は所得税と住民税が0円になり手取りが増えますが、7月からは11ヶ月で分割した住民税が引かれるようになり、手取りが減ってしまいます。
ここは注意するところで、場合によっては今までより手取りが減ってしまう方がいます。
まとめると以下の感じになります。
まとめ
①6月支給の給料や賞与から所得税が減額(手取り増)
②6月分の住民税は0円(手取り増)
③7月分の住民税は通常の12ヶ月分割と違い、1万円減額されて11ヶ月分割で徴収。(手取り減)
④所得税は3万円分減額されたら後は通常通り所得税を徴収(手取り減)
⑤12月支給の給料・賞与で3万円の減税が終わらない場合は翌年に支給(現金給付)
定額減税パターン② 配偶者+子供(所得48万円以下)
続いて配偶者と子供が一人いるパターンになります。
ちなみに配偶者は専業主婦を想定していますが、パートをしていても年間の給料が103万円以下であればこのパターンに該当します。
この人は本人+配偶者+子供の3人分の控除があるので、所得税が9万円・住民税が3万円の控除となります。
控除方法は先程のパターンと同様で
所得税は6月支給の給料・賞与から順々に控除されていき、12月最後に支給される給与・賞与まで控除されます。
それまでに9万円に到達すれば以降は普通に徴収されるようになり、もし控除額が余ってしまえば来年に余った分を1万円単位になるまで切り上げて支給されます。そのため金額は1万円~9万円までの1万円単位のどれかになります。
住民税は通常は6月から前年の所得に応じて課税された住民税を12ヶ月で分割した金額が徴収されていきます。ただ今年は6月分は0円で7月から新しい金額で徴収されます。
そのため6月は所得税と住民税が0円になり手取りが増えますが、7月からは11ヶ月で分割した住民税が引かれるようになり、手取りが減ってしまいます。
ここは先程と違い、3万円の控除なのでもしかすると7月以降の手取りも例年より多くなる可能性がありますね。
まとめると以下の感じになります。
まとめ
①6月支給の給料や賞与から所得税が減額(手取り増)
②6月分の住民税は0円(手取り増)
③7月分の住民税は通常の12ヶ月分割と違い、3万円減額されて11ヶ月分割で徴収。(手取り減)
④所得税は9万円分減額されたら後は通常通り所得税を徴収(手取り減)
⑤12月支給の給料・賞与で9万円の減税が終わらない場合は翌年に支給(現金給付)
定額減税パターン③ 住宅ローン控除がある人
このパターンの人は基本は定額減税パターン①か②を参考にしてください。
他と違うところは住宅ローン控除を受けることで普段は所得税が掛かっていない、もしくはかなり少ないという想定でお話を進めていきます。
このパターンの人も給料から徴収される所得税は基準額に達するまで0円となります。
そのおかげで年末調整時に還付される所得税が減ってしまいます。
年末調整は今まで引かれていた所得税を控除など含めて再計算する作業なので、もともと引かれていないと返すお金もないという事ですね。
一時期はこれで返すお金がないので住宅ローン控除は無駄という扱いになりそうでしたが、それでは住宅ローン控除がある人は定額減税の恩恵が無いという事で、年末調整時に住宅ローン控除を受けた場合で所得税を計算し、その後に定額減税を受けることになりました。
少しややこしいですが、住宅ローン控除を受けて所得税が0円になるのであれば定額減税の分は全額給付になるという事です。とりあえず損はせずに適正に定額減税の恩恵が受けられるようになりました。
定額減税パターン④ 個人事業主
続いては個人事業主の方になります。
この方も金額については所得税3万円×(本人+扶養人数)、住民税1万円×(本人+扶養人数)となります。住民税はいいのですが、所得税については予定納税か確定申告で調整することになります。
予定納税で減税を受ける場合は本人分は自動で適用されそうですが、扶養者については申請を出す必要がありそうです。ただ、最終的には確定申告で適正額で定額減税を受けれることになるので無視でもよさそうです。
このパターンで注意する必要があるのは専従者給与を支給している時です。
専従者については青色・白色関係なく支給している時点で配偶者としての定額減税の対象からは除かれます。
本人の控除としては受けられるようなので、差額があれば支給されるとは思うのですが現状は少し不透明のようです。
2024年5月13日で全国商工会連合会より抗議についての記事が出ておりましたので、今後の政府の対応に注目ですね…。
「業者婦人は1人4万円の定額減税」 白色事業専従者など対象外 全商連と全婦協、怒りの政府要請 「業者婦人は国民ではないのか」|全国商工新聞 (zenshoren.or.jp)
定額減税パターン⑤ 社長など年間所得1,805万円超
このパターンの人は理不尽な扱いを受けます。
何が理不尽化というと定額減税の対象外なのにも関わらず、毎月の役員報酬や給料からは定額減税が行われ所得税の徴収が減額されます。ただ、定額減税の対象外になるため確定申告時にこの減税分はなかったものとして追加で徴収されます。
対象外なのが分かっているのであれば減税せずに進めて、所得が対象の金額に収まったのであれば確定申告や年末調整時に控除すればいいのですが…。そういう訳にはいかないようですね。
これ以上は書きませんが、このパターンの人も一旦は定額減税され確定申告時にこの分を含めて徴収されます。
定額減税 経理担当者向け
この章は経理担当者向けになります。一緒に頑張りましょう…。
もう給付すればいいのにという不満は置いておいて、問題なりそうな部分だけ書いていきます。
2024年に扶養が変わったパターン
新しくお子さんが産まれたり、扶養が増えたり、減ったりというパターンですね。
この場合は6月の給与・賞与支給まであれば変更できますがそれ以降の変更は年末調整や確定申告時に行う事になります。とにかく最初の支給時に決定した定額減税の金額は変更できません。ただ、年末調整などでは反映されるので変更はされると思ってください。
ちなみに死亡の場合は定額減税の対象として人数に含みます。
住民税については令和5年の扶養が基準になりますので令和6年の変更は無視されます。
住民税の均等割りだけの人
定額減税を受けて住民税が均等割りだけになった人は6月の住民税は徴収しないのですが、定額減税は0円で均等割りだけが掛かってくる人は6月に住民税を徴収するようです。
これは定額減税の対象外なので、通常通りに住民税を徴収・納付してくださいという事のようです。
もしかすると市町村によって取り扱いが違う可能性もあるので、通知書通りに引くという事を基準にしてください。
年末調整でまとめて実施
これが一番楽なのは間違いなのですが、国としては毎月実施してくださいとなっています。
無視するとどうなるのか分かりませんが、所得税法第242条7項に基づき罰則を課せられる可能性があるかもしれません。1年だけの制度なので見せしめとなるのか特に何もなく進むのかは分かりません。
とにかく毎月減税するというのが正しい処理になります。
給料明細への記載
これも義務化されましたね。
定額減税の実施金額を明細に記載しなくてはいけなくなりました。
おそらく給与ソフトを使っている場合は対応してくれると思いますが、使っていない場合は記載するようにしてください。こちらもどうなるか分かりませんが、罰則が適用される可能性はあるようです。
まとめ
一旦、現状はこれくらいかと思います。
今後の状況を見て追記や修正をしていく予定です。
何か要望があればお問い合わせよりご連絡ください。
またココナラの出品サービスもありますので、そちらもご活用ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました、