日商簿記2級やFPは転職に有利なのか。税理士事務所職員が現場で感じた事
今回はよく聞く日商簿記2級の資格が転職や就職に本当に有利かどうか、税理士事務所で働く身として感じたリアルな経験をお伝えできればと思います。
日商簿記2級について
まず日商簿記2級は日本商工会議所が主催する公的資格となります。国家資格とは別になりますので、そこは注意が必要です。
今まで年間の試験回数は基本2月・6月・11月で年に3回でした。
それが新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ネット受験が出来るようになった事で試験会場が設定する任意の日時で受験が出来るようになり、かなり便利になりました。
東京商工会議所検定サイト | 日商簿記検定とは | 日商簿記検定 (tokyo-cci.or.jp)
そして日商簿記には1級・2級・3級とあるのですが、なぜ3級ではなく2級が良いと言われるのかは次項目で説明していきます。
日商簿記は3級ではなく2級が推奨される理由
これは2級と3級の出題範囲の違いが影響しています。
3級では簿記の知識の基礎を勉強しますので、製造業などが絡まない業種であれば経理が出来るレベルにはなると思います。
2級はそれに工業簿記と財務諸表(決算書など)の分析などが追加され、より専門的になっていきます。
そのため財務担当や税理士事務所など、財務・税務に関わる職種に就きたい場合は2級の知識が必要となってきます。新卒などであれば就職後に取ってもいいかもしれませんが、転職の場合に3級は持っていますが、2級はこれから勉強しますとなると採用のハードルは上がります。
日商簿記2級と3級の合格率について
商工会議所が公表している表を見ながら解説していきます。
まずは3級の紙での受験者数と合格者数、合格率の表になります。
続いて2級の紙での受験者数と合格者数、合格率の表になります。
最後に2級と3級のネット受験での受験者数と合格者数、合格率の表になります。
この表から受験者数はネットが格段に多く、合格率も2級のネット受験が紙と比べて2倍ほど差があるという事が分かります。
ここまで差が開いている原因としては不正などではなく、紙とネットでは問題が違い、ネットは応用問題などが出しにくい事や、期間を開けずに合格するまで受験するという事が原因と言われているようです。
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日商簿記2級の紙とネット受験で就職に差が出るのか
ここについては企業側の判断になるので難しいですが、2級は2級と見るのが今のところ多いのではないかと思います。今後はどうなるか分かりませんが、採用募集の段階でネット受験での合格は不可などはみた事ありません。
ただネット上では、面接で聞くという面接官や実際に聞かれたという人がいました。もし本当に聞かれるのであればネット試験は不利なのだと思いますが、それが理由で不合格というのはやはり考えにくいと私は思います。
日商簿記2級が就職に有利かどうかの結論
紙での受験しかなかった頃は合格率20%前後で資格保有者も少なかったイメージでしたが、ネット上で就職に有利という話が出回った事と、ネット受験が始まった事が重なり資格保有者がかなり増えました。
面接にて2級を持っている人の確率が上がっていて、現場的には持っていると就職に有利というよりは、持っていないと面接まで辿りつけなくなっているという印象ですね。
そう考えると2級の中で差がある紙とネットの違いを聞く面接官もいるのかもしれません。同じくらいの評価であれば紙での合格者を採用するといった感じです。
結論としては財務や税務関係の職を目指すのであれば2級は必須で、一般事務であれば有利と言えるかと思います。
FP(ファイナンシャルプランナー)について
ファイナンシャルプランナーは職業名称で、それに関連する資格としてファイナンシャル・プランニング技能士という国家資格があります。※以下FP技能士と省略します。
内容や役割としては、ライフプランやニーズに合わせて貯蓄や投資や保険など、お金に対する色々なプランを立てたり、アドバイスをする資産に関する専門家になります。
こちらは名称独占資格となるので、資格を持っていない人がファイナンシャル・プランニング技能士やその資格保有者であるような事を語るのは違法となります。
ただし、ファイナンシャルプランナー自体は職業名称となるため、資格を持っていない人でも名乗ることが出来ます。
FP技能士の種類について
FP技能士は3級・2級・1級とAFP、CFPと5種類あります。
3級・2級・1級は検定で、AFP、CFPは日本FP協会の認定資格となっていて、詳しい図解や説明は日本FP協会の資格を見てもらった方が良いかと思います。
FPの資格と検定の種類 | 日本FP協会 (jafp.or.jp)
今回、就職活動でメインとなるのは3級・2級で、上位資格については就職後や独立まで考えた際に取得するくらいの感覚かと思います。もちろん、上位を持っている方が有利に働くのは間違いないですが、採用段階でそこまで求められることは少ないと思っています。
FP技能士の合格率について
日本FP協会が公表している表を見ながら解説していきます。
まずは3級の受験者数と合格者数、合格率の表になります。
続いて2級の受験者数と合格者数、合格率の表になります。
ちなみにFPは学科試験と実技試験があり、どちらも合格することで合格証書が発行されます。
試験についてはこちらの記事を読むとより詳しく分かるかと思います。
FP技能士はどういった職種で求められるのか
シンプルにファイナンシャルプランニングを提供する会社は求めていると思いますが、他にFP技能士という資格を求める職種というのは少ないかな…というイメージを持っています。
それはこの資格が全体的なお金の知識の複合で、日商簿記と違い特化している資格という訳ではないので、FP技能士を求めている職種というのは少ないかと思います。また名称独占なのにファイナンシャルプランナーは名乗ってもいいというのが大きいのではないでしょうか。
広告はなりますが、こういった無料相談を経験してみる事もありだと思います。自身のお金についても発見できたり業種の体験もできるという意味で検討してみてください。
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FP技能士が就職に有利かどうかの結論
目指す職種によりますが、ファイナンシャルプランニングを提供する会社に就職したいという場合を除いて、この資格が求められることは少ないと思っています。銀行や保険代理店などであれば加点対象にはなると思いますが、そういった職種であれば日商簿記2級の方が重宝されると感じています。
これは日商簿記が優れていると言いたいのではなく、資格としての役割が違う。そういう風に考えてください。
FP技能士はあれば加点にはなると思いますが、独立やその専門の会社に就職したい場合を除き、自分の知識を深め、その確認として合格証書があるという考えを私は持っています。
まとめ
今回は日商簿記とFP技能士についてのお話しでした。
体感としては日商簿記2級は取っておいた方が良いと思っています。
FP技能士についは余裕があれば。そういうイメージでいいと思います。
職種によってはこれより優先される資格が当然にあると思いますので、色々と調べてみて必要な資格や知識の勉強に優先順位をつけながら進めてみてください。
今は変化の激しい時代になりますので、お互い頑張っていきましょう!
長くなりましたが、今回は以上になります。
何か要望があればお問い合わせよりご連絡ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。