起業のリアル:法人設立 vs. 個人事業。比較と検討。

2025年2月17日

個人事業と法人の比較

 

今回は起業のリアルについて、特に法人か個人事業主か、どちらを選ぶのが良いかというお話になります。

今まで何度か触れてきましたが、今回は実際の中身の違いについて深彫りしていけたらと思います。

↓過去記事について気になる方はこちらからどうぞ↓

 

法人 vs. 個人事業、基本的な違い

イメージ的には個人事業主の方が事業規模が小さく、法人の方が事業規模が大きいというので間違っていません。そのため事業内容によりますが、基本的には個人事業主スタートが良いと思います。

 

じゃあ、何が違うのかという点について順を追って説明していこうと思います。

 

①個人事業主と法人のスタートの違い

まずは起業するぞ!となった場合、個人事業主を選ぶのか、法人を選ぶのかでスタートのハードルが全然違います。

やはり最大のポイントは費用だと思います。

法人の場合は、登記が必要になりますので法務局などで手続きが必要になります。この手続きについては、自分でもできますが、司法書士に頼むのが一般的で相場としては30万円前後の出費が発生します。

 

個人事業主の場合は登記が必要ありませんので、税務署に届出をするだけでOKです。

費用だけでも十分に差がありますね。

そこに加えて、代表取締役社長の選任や、事業内容の設定、会社のルールである定款の設定など、最初に決めた後に変更をするのに手間がかかるものがあります。後から変更する場合は、また費用が掛かってきます。

 

法人の場合は会社法などの規定がありますので、個人事業主より複雑になってしまいます。

気になる方は読んでみてください。

会社法 | e-Gov 法令検索

 

②個人事業主と法人の税金の違い【重要】

結果として個人事業主を選ぶか法人を選ぶのか、その際に重要視されるのは、やはり税金ですね。

個人事業主の場合は給料という考え方がなく、利益全てが所得となり利益全体に税金がかかってしまいます。法人の場合は利益と給料に分かれるので、少しややこしいですが、簡単に記載してみます。

厳密に言うと少し違う面もありますが、ニュアンスが伝わればと思います。

 

個人事業主

利益に対する税金:所得税、住民税、事業税、国民健康保険等

 

法人

利益に対する税金:法人税等、法人市区町村税、法人都道府県民税、法人事業税等

給料(役員報酬)に対する税金:所得税、住民税、社会保険料

※今回、消費税まで含めると説明が多くなるので、この点は省略しています。インボイスについてはこちらを参考にして下さい。

 

文字だけでは分かりにくいのですが、法人は会社に利益を残しつつ、役員報酬として給料をもらう事で、個人に掛かってくる税金を調整することが出来ます。個人事業主は利益全てに税金がかかるので、調整が難しいです。

ここのポイントは所得税率と法人税率に差がある事です。

所得税率

引用元 No.2260 所得税の税率|国税庁

そこのシミュレーションをすることで、法人にするか、個人事業主にするかの検討要素になります。

 

Left Caption

えーる

所得税率は最大45%までいくから、法人税と比較することが重要だよ。

 

③個人事業主と法人の社会的信用について

続いては社会的な信用についてのお話です。

先にあったように個人事業主は簡単にスタートでき、税務署への届出も出せばOKなので、特に難しい手続きはありません。そのため、実体の把握や取り組みの本気度が見えにくいという事で、法人に比べると社会的な信用が低い傾向にあります。

 

最近では、法人でないと仕事の発注をしていないという業者や業種などもありますので、個人事業主では仕事が無いという事も考えられます。法人設立まで少し時間がかかりますので、目先の仕事以外にも視野を広げて考える必要があります。

 

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えーる

一般的にも個人事業というより、社長だよ!って言う方が凄そうだよね。

④個人事業主と法人の資金調達について

これも先程の社会的信用に関わってくるのですが、資金調達についても法人の方が有利なことが多いです。

ただ、最近は法人でも厳しく見られますし、個人保証もつける必要があったりしますので、売上や利益が見込めるのであれば資金調達を理由に法人化するという事はあまりないです。

一応書きましたが、そこまでの影響はないと考えてもらっていいと思います。

 

⑤法人と個人事業主の申告難易度について

最後に持ってきましたが、これも割と大きな要因だと思います。

個人事業主であれば会計ソフトへの記帳か、売上・経費の集計さえできれば国税庁のHPなどで何とか申告できるかと思います。

ただ、法人の場合はそうもいきません。

会計ソフトへの記帳は最低限。そこから法人税の申告書など必要な書類の枚数が多く、また、国税庁のHPなどで作成できるものではないので、専門の知識か申告書作成用のソフトが必要になります。

そうなると税理士に頼もう!となるのですが、法人の場合は毎月の顧問料が発生することが多く、年間20万円くらいは普通にかかってきます。申告だけネット経由で依頼できるような所もありますが、会計ソフトへの入力は自分で行って5万円などは掛かるイメージです。

会計ソフトへの入力も任せた場合は、取引件数や領収書の枚数などで違いますが、年間に数十万円はかかると思ってください。

 

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えーる

ここの追加経費についても検討する必要があるよね

⑥個人事業主と法人の廃業・清算するまでの難易度

スタートするのが簡単と初めに解説しましたが、個人事業主の場合は廃業するのも届出を出すだけで済みます。始めるのも辞めるもの手続きが簡単なのは魅力の一つです。

 

逆に法人は清算するのにも費用が掛かり、手続きも複雑です。

設立時に登記が必要だったように解散時にも登記が必要なのです。

この登記も司法書士に依頼したりと費用が掛かり、また、法人に残った資産の分配など、色々な計算も必要になります。これも自分で行うのは難しいため、税理士にも依頼する必要があります。

 

もし誰かに株を譲渡して引き継いでもらう場合などは、また株価の算定などの業務がつきまといます。

基本的に出資時の額面で渡すことは少ないと思います。

 

Left Caption

えーる

ずっと利益が出ている会社だと株の価値も上がっているという事だね

 

これまでのまとめ

ここまで違いについて解説してみましたが、結果としてはどこを重要視するかになります。

ただ、やはり税金面については重要な項目だと思いますので、そこを軸に考えてみてください。

それとコネが弱い状態での起業は個人事業主をおススメします。コネが強いのであれば、最初から法人という選択もありだと思います。

 

法人設立や法人成りする場合の検討事項

ここで改めて、検討する項目を確認してみましょう。

 

①年間の利益とその税金の比較

②設立費用など、初期投資回収までの期間

③個人事業主でも仕事の受注は可能か

④税理士の経費と自身で経理業務ができるか

⑤社長という肩書など、社会的信用の必要性

⑥起業して何年間、仕事を続ける必要があるのか

⑦次の代など、誰かが引き継ぐ予定があるか

思いつくのはこんな感じですかね。

この項目を検討しながら、個人事業主か法人か考えてみてください。

そして自分の中である程度固まったら、税理士などの専門家に相談し、具体的な金額やプランなどを詰めてもらってください。

 

まとめ

長くなりましたが、なんとなく要点はつかんでもらえましたでしょうか?

何が重要なのかを考えながら、節税や今後の展望に応じて選択していってください。

法人成りや個人成りなど、後から変更することも費用は掛かりますが可能ですので、一歩踏み出してみるのも大事かもしれませんね。

 

今回は以上になります。

何か要望があればお問い合わせよりご連絡ください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。