個人事業主が確定申告で損をしない為にやっておく2つのこと
前回までは経費についてお話ししましたが、今回はそもそも確定申告ってよくわからない!っていう人が損をしない為に必要な書類や提出する必要があるものなどをまとめました。
そもそも確定申告ってどういう人がするの?
- 給料所得があるのに年末調整をされていない人。(給与の収入金額が2000万円を超えているなど)
- 給料以外の所得の合計が20万円を超える。(注意:収入と所得は違います)
- 2か所以上から給料をうけていて、年末調整をされていない給料の収入と他の所得の合計が20万円を超える。
- 医療費控除や住宅ローン控除など、年末調整で控除をうけられないものがある場合。
おおまかに言うとこんな感じですかね。
この記事を見ている人は2に該当するんではないでしょうか?
また、途中で書いてある収入と所得の違いですが、収入はもらった金額、所得は収入から控除される金額や経費を差し引いたものと覚えていてください。
控除については色々ありますので、機会があれば書きますね!
ここで一つ言っておくことがあるとすれば、これは所得税の申告になります
住民税の申告については、副業をしていて所得があれば申告しなくてはいけません。
これは20万円などの金額は関係ありませんので、お住いの市町村の役所に相談してみてください。
※所得税の確定申告をしていれば、税務署が各市町村と連動していて情報を渡しているので何もする必要がありません。
事業を開始した段階で提出するべきもの
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
ここまでが最低限必要なライン。以下は状況によっては提出する必要あり
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃業等届出書
- 青色専従者給与に関する届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 消費税課税事業者選択届出書(個人事業主で開業のタイミングでこれを出す方はインボイス制度絡みの方かと思います)
こんな感じですね。
今回は、最低限必要なラインと書きましたが、1と2はセットのようなものになっています。
特に2.所得税の青色申告承認申請書の提出をしていないとかなり損をすることになりますので、この2つについて解説してきますね。
個人事業の開業・廃業等届出書
初めて見た方が多いかと思いますが、大体の意味は分かりそうですね。
開業してから1か月以内に提出してくださいと国税庁のHPには書いてありますが、これを提出していない事で特に罰則はありません。ただ、「2.所得税の青色申告承認申請書」を出す際に提出する必要がありますのでセットだと書いていました。
次の章で書き方を詳しく見ていきましょう。
個人事業の開業・廃業届出書の書き方
まず、用紙自体は国税庁のHPからダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
ダウンロードURLの下に書き方についてのテキストもありますが、文字ばっかりで分かりにくいですね。
記載個所を埋めてみたPDFをリンク先にしていますので、参考にしてください。
また、番号を振っているところに補足を入れておきます。
①管轄の税務署の名前を書いてください。住所をいれて検索すれば管轄の税務署が分かると思います。
②提出日を書くので、持参なら空欄で税務署で書くのもありですね。
郵送なら作成段階で書いておくほうが、書き忘れもなくていいと思います。
③納税地は生活の拠点となっている場所ですね。基本は自宅の住所になると思うので、住所地にチェックマークを入れといてください。
④ほかに事務所とかがあれば書くのですが、ほとんどの場合はないと思うので、空欄で。
⑤自分の名前とフリガナです。
※以前は印鑑をつく欄があったのですが、現在は廃止されました。
⑥職業ですが、この職業に書いた項目と事業の概要に記入した内容で事業税の税率が決まってきます。フリーランスや広告業などと書いてもいいですが、ライターなどであれば文筆業と書けば、指定業種外なので個人事業税がかかりません。
漫画家さんや画家なども非課税になるそうです。
ただ、嘘を書くのではなく事実を書くようにしてください。
事業所得が290万円を超えてくると事業税がかかってくるので、このタイミングで税務署からお問い合わせがくる事があるそうです。
⑦会社名のようなものなので、好きな名前を付けられます。空欄でもOKです。
⑧生年月日も忘れずに記入しましょう。
⑨先ほど書いた職業についての内容を詳しく書いてください。webサイト運営やインターネットビジネス、商品広告の掲載、ブログの執筆などですかね。
⑩誰かに給料を支払っていれば記入してください。専従者を雇っているのであれば別途に届出が必要になります。
提出のタイミング
これを提出すると失業保険の給付が受けられなくなるので、注意してください。
他は、個人事業一本でやられている方はすぐに提出でいいと思うのですが、会社員の副業であれば注意が必要です。
それは、事業として認められるのかという点。
事業として認められないと場合は、事業所得ではなく雑所得になるので確定申告での所得の計算が変わってきます。たびたび事業所得か雑所得かで国税と争っている人がいて、判決の際にポイントになったものを羅列しておきます。
- 営利性があるか。
- 継続・反復性があるか。
- どれくらい時間をかけているか。
- 人や設備を整えたりしているか。
- 自分で独立して経営できているか。(他人の資金等でやっていないか、責任は自分にあるか)
- ある程度の期間で継続して安定的な収入が得られるのか。
正直、サラリーマンの方だと午前から午後にかけて時間を持っていかれるので、かなり厳しい印象ですね。
普段の仕事より収入が安定して上回ってくれば、時間もかかっているでしょうし、用件はほとんど満たせていると思うので、税務署に相談に行くといいかと思います。
それまでは届出を出さず、雑所得として確定申告しましょう。
※FXや先物取引などは雑所得になります。↓に国税のHPを記載しておきます。
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1521.htm
事業というよりは、確実に利益を生むわけではなくギャンブル要素があるのでといった理由のようです。
雑所得と事業所得の違いは最後に記載します。
その前に令和4年に出来た事業所得の新しい基準を補足しておきます。
令和4年の改正 事業所得か雑所得か
今回の改正は、副業が事業所得の赤字と合算して税金を還付してもらうという事例が増えてきたためのものになります。詳しいところまで書くとややこしいので簡単に。
とりあえず先程の判例のポイントと別に帳簿を備え付けていなければ、ほぼ雑所得になります。帳簿が無くても売上が300万円を超えていればセーフです。
詳しく知っておきたい人は国税庁のHPから読み込んでみてください。
「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)|国税庁 (nta.go.jp)
所得税の青色申告申請書
正直、今回の肝はこの書類です。これを出すだけで受けられる特典が大きいので出していなければかなり勿体ないです。
確定申告時に少し手間はかかりますが、提出していない場合(白色申告)と比べると控除やその他でも優遇されます。
一番のメリットは青色申告特別控除といって最大65万円の控除が受けられることだと思います。
65万円の控除をうけるには、貸借対照表や損益計算書などの書類をつけた上で電子申告などをする必要があります。(電子申告などをしない場合は55万円)ただ、白色や青色申告の10万円控除(提出書類が少ない)の場合でも、所得の計算をするので手間自体はそこまで変わりません。
この辺の詳しいことに関しては今回は割愛させていただきます。
他には、赤字の繰り越しが出来たり、30万円未満の資産であれば一括で経費に出来たりと特典があります。
書き方について
これも国税庁に様式があります。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
↓に自分が迷いそうなポイントに番号を振ったものを添付しておきます。
上の部分は事業開始届と同様に埋めてください。
①適用を受ける年を記入してください。ただ、提出のタイミングによっては翌年からになることもあるので、後述する提出のタイミングを見てください。
②は事業所等を借りていなければ空欄で構いません。事業所等があるのであれば、店舗名や本店などと記入して住所を書いてください。
③簿記方式は65万円の控除をうけるなら複式簿記を10万円でいいので提出書類を減らしたいのなら簡易簿記にチェックマークを入れてください。
④備え付け帳簿は埋めているところを参考にしてください。
以上です。
備え付けの帳簿は必須になりますし、どうやって作るんだっていう方もいると思います。
基本は経理ソフトを導入することになるかと思いますが、商工会議所などでも資料を持って行ってお金を支払えば作ってくれるので相談に行ってみてください。
お金に余裕があれば税理士さんも選択にいれてみるのもいいかもですね。申告以外でも疑問があれば相談に乗ってもらえるかと思います。
契約前に料金や内容について確認してくださいね。
記帳代行くらいなら相談してくれても大丈夫だよ。税金の話とかは税理士法違反になるから出来ないけど…。
提出のタイミングについて
今回、事業を始めた人は開始届と一緒に提出してもらえば大丈夫です。
ただ、事業の開始時期を2か月以上前に設定している場合は、翌年からの適用になるので注意してください。
新規の方は設立から2か月以内であれば適用できます。
他に、事業自体は昔からやっていて今回、この届出だけを提出する場合は3月15日までに提出しなければその年は青色申告にはなりません。翌年からの適用になります。
提出のタイミングは気を付けてくださいね。
まとめ
正直、書いている途中で分割すればよかったなと思いました…。
青色申告控除に関しては、あまり説明できていないので。
白色申告<青色申告(10万円)<青色控除(55万円)青色申告(65万円)
の順に必要な書類や手間が多くなるってことを理解してください。
ただ、どう見ても65万円控除受けたいですよね。
少しの手間は頑張りましょう!詳しいことは確定申告の前にはまとめたいですね。
とりあえず今回は、これで終わります。
次回は資産関係について記事にしたいと思いますのでよろしくお願いします。