ふるさと納税「ポイント還元」2025 年10 月全面禁止ガイド
今回は前回に引き続き、ふるさと納税についてです。
ここから4ヶ月以内でポイント還元についての改正が入る予定なので、その点を重点的にお話ししていきます。また、そこから先はどこでふるさと納税をしても変わらないのかについても補足していきます。
前回の記事を読んでいない方はこちらからどうぞ。
制度改正の背景──なぜポイントが消えるのか
2024 年6 月25 日、総務省は「寄附に伴いポイント等を付与する者を通じた募集を禁止する」旨の告示を発出しました。これにより2025 年10 月1 日以降、楽天ふるさと納税をはじめとする仲介サイト経由のポイント還元キャンペーンは全面的に停止されます。ふるさと納税ナビ
告示までに積み上げられた議論は主に3点。
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趣旨逸脱
本来“応援したい自治体へ寄附する”はずが、“ポイント還元率で選ぶ”行動が顕著になった。 -
自治体コストの肥大化
掲載手数料・広告費が寄附額の最大5 〜 10 %に及び、結果として住民税が「ポイント原資」に流用される構図が問題視。電子印鑑GMOサイン -
都市部流出の加速
2023 年度のふるさと納税寄附総額は1兆1,000億円超で過去最高。都市自治体からの税流出が止まらず、「本来の地方法人税減収を補えない」という財政論点が浮上しています。福島民友新聞社
コラム|「返礼品競争→規制」の歴史
2017 年:返礼品額を寄附額の30 %以内に制限
2023 年:返礼率の算定方法を厳格化
2025 年:ポイント付与禁止(今回)
→ インセンティブ合戦が行き過ぎるたびに“締め付け”が強化されてきた経緯があります。
2024-2026 年のタイムライン
期日 | イベント | 実務影響 | 出典 |
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2024/6/25 | 告示公表 | ポータルは対応検討を開始 | ふるさと納税ナビ |
2025/3/18 | 楽天が295万筆の反対署名を首相官邸へ提出 | 規制撤回要望も現状結論は出ていない | 株式会社サークル |
2025/9/30 | ポイント付き寄附が可能な最終日 | “駆け込み”ピークが予想される | 同上 |
2025/10/1 | 告示施行 | ポイント付与サイト経由の寄附不可 | セゾンのくらし大研究 | |
2025/10/以降 | 代替施策(クレカ・自治体独自ポイント)が本格化 | 利用者の“比較軸”が再編 | SMC税理士法人 |
主要ポータル4社の最新対応と影響度
サイト | 利用者シェア* | 公式コメント(要約) | 影響度** | 今後の打ち手 |
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楽天ふるさと納税 | 35 % | 「自社原資ポイントを禁止するのは筋違い」―反対署名295万件提出 | ★★★★★ | 独自開発の自治体ポイント制度を検討 |
ふるなび (アイモバイル) | 18 % | 「制度趣旨に沿って対応」キャンペーンを段階縮小 | ★★★☆ | Amazonギフトなど外部交換型特典へ軸足 |
ふるさとチョイス | 17 % | 「返礼品本位に原点回帰」 | ★★☆☆ | 地域体験型・旅行クーポンを拡充 |
さとふる (SBプレイヤーズ) | 13 % | 「ユーザー負担軽減策を検討」 | ★★☆☆ | 独自Pay還元を模索 |
*2024 年度各社公表値・推計平均
**影響度=ポイント依存度×取扱高を 5 段階で筆者算定
深掘り:楽天のビジネスリスク
楽天グループ決算ではふるさと納税事業(FinTechセグメント)が数百億円規模。ポイント施策は同社経済圏の要であり、今回の規制は“ポイント商圏”全体に波及する恐れがあります。
利用者へのインパクトを分解する
家計キャッシュフロー
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ポイント最大派(年間寄附上限=目安30 万円/年収800 万円・共働き)
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現在:30 万円×15 %(楽天SPU + キャンペーン)=4万5,000 pt
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廃止後:クレカ1 %のみ → 3,000 pt
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減収差額:4万2,000 円相当
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時間コスト
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ポイント比較が不要に → サイト横断リサーチ時間が平均30 分短縮
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商品比較は「寄附額÷内容量」へ収斂=コスパ計算が単純化
自治体選定の軸がシフト
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返礼品独自性(地場産・体験型)
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配送リードタイム
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地域応援ストーリー
2025 年9 月“駆け込み需要”で損しない3つのコツ
コツ | 説明 | アクションチェック |
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① 上限額を厳密に計算 | 年収・家族構成・社会保険料・住宅ローン控除で大幅変動 | ▶ 上限額シミュレーター(既存記事「ふるさと納税は“節税”じゃない?」へリンク) |
② 人気返礼品は6〜8月に前倒し確保 | 駆け込み期は在庫枯渇+配送遅延が恒例 | <例> 宮崎牛定期便/北海道ホタテ 3 kg |
③ ポイント付与タイミングを要確認 | “寄附月の翌月中旬付与”が多い。寄附日の切り替えを跨がないよう注意 | 9/30 23:59 の寄附→10/15 付与で滑り込み可 |
さらに細かいテク
“倍付けデー” (5の付く日・0の付く日) を活用し楽天 SPU + キャンペーン重ね掛け
Amazon Pay や PayPay 経由の「決済リワード併用」も9 月が最後の花火
クレカ決済ポイントは本当に残るのか?
規制対象外=「決済に伴うポイント」
告示は仲介サイトが自社販促として付与するポイントを禁止するのみで、クレジットカード会社の決済リワードまでは規制していません。したがって1 %前後のカードポイントは継続します。SMC税理士法人
廃止後の“新・三種の神器”
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カード限定キャッシュバック
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例:特定カードで寄附額1 %相当を statement credit で還元
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自治体独自ポイント
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2026 年度から導入を検討する自治体が複数(旅行券・地域Pay など)
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サブスク型返礼品の拡充
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定期便(米・肉・ビール)でリピートを継続…金額-体験結合型へ進化
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TIP:「ポイント還元禁止=旨味ゼロ」ではなく、還元の主導権が“自治体 or カード会社”に移ると捉えると攻略が見えます。
ケーススタディ|年収別シミュレーション
世帯A:会社員・扶養なし・年収550 万円の場合
項目 | 2024 年 | 2025 年9 月まで | 2025/10 以降 |
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寄附上限 | 約60,000 円 | 同左 | 同左 |
付与ポイント | 9,000 pt (楽天SPU15 %想定) | 7,500 pt(想定キャンペーン縮小) | 600 pt(カード1 %) |
実質還元率 | 15 % | 12.5 % | 1 % |
結論 | ポイント最大化の最終年度。ワンストップ特例併用で9 月中に完了推奨 |
世帯B:共働き・子ども2人・世帯年収1,200 万円
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上限額=約250,000 円
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ポイント差額シミュレーション:
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今=37,500 pt
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廃止後=2,500 pt
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還元減少幅35,000 pt(=実質3.5 万円)
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食品系大型定期便(米30 kg/ビール定期便)など“分納返礼”を先行でもらうとキャッシュアウトを平準化できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2025/10以降、ポイント還元サイトを介さず自治体に直接寄附した場合は?
A. ポータル経由でも直接寄附でも“ポイント付与自体がダメ”という規制ではないため、自治体が独自に付与する地域ポイントは可能性あり。ただし都道府県を跨ぐ汎用ポイントは現状未定。ブレインズ税理士法人
Q2. クレカ還元率の高いカードに乗り換えるべき?
A. ノーマル1 %→1.5 %に上げても還元差は0.5 %=上限25 万円で1,250 pt増に留まる。コスパは微妙。還元率より「年会費」「旅行保険」など付随ベネフィットで選びましょう。
Q3. ポイント規制は再延期・撤回の可能性ある?
A. 署名提出で議論は継続中だが、総務省は「制度趣旨に沿う」と明言。撤回確度は低いと見られます。セゾンのくらし大研究 |
まとめ:ポイント競争の終焉=“選ぶ基準”の再編
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禁止施行日は2025 年10 月1 日――ポイント取りは残り18 か月。
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主要ポータルの構図は「楽天=独自対抗策」「その他=返礼品原点回帰」。
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駆け込みは上限計算→在庫確保→付与時期確認の3ステップで“取りこぼしゼロ”へ。
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2026 年以降はクレカ×自治体独自ポイント+体験型返礼品が新潮流。
以上になります。
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