簿記2級やFPは転職に有利?事務所職員が見た実際
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経理を目指すとき、多くの人が最初に考えるのが資格です。「簿記2級は必要なのか」「FPも取ったほうがいいのか」——どちらも時間と費用がかかるため、判断を迷うところだと思います。
経理・財務の職を目指すなら、日商簿記2級は優先度が高い資格です。法律上の必須要件ではありませんが、応募条件に挙げている求人があるため、持っていないと選択肢が狭まります。一方FPは目指す職種によって評価が分かれます。経理職に限れば、簿記のほうが重視される場面が多いのが実感です。
この記事では、税理士事務所で採用に関わってきた立場から、それぞれの資格が実際にどう見られているかをお伝えします。
日商簿記2級はどう見られているか
持っている人が増えている
現場で感じているのは、面接に来る人が簿記2級を持っている確率が上がっているということです。
これは資格の価値が下がったという意味ではありません。むしろ逆で、持っていることが前提になりつつあるということです。応募条件に「日商簿記2級以上」と書かれていれば、持っていない時点で応募できません。
簿記2級がなければ経理になれないわけではありません。資格を問わない求人もあります。ただし応募できる求人の数が変わります。「必須かどうか」ではなく「選択肢をどれだけ持てるか」で考えるほうが実態に合っています。
3級と2級の違い
2級では、3級の範囲に加えて工業簿記が入り、財務諸表の理解も深く問われます。商業簿記だけの3級と比べると、対応できる業務の幅が変わります。
採用する側から見ると、3級は「基礎を学んだ」ことの証明、2級は「実務の話が通じる」ことの目安として見ています。
統一試験とネット試験の合格率の差
簿記2級には、決まった日に会場で受ける統一試験と、随時受けられるネット試験(CBT)があります。この2つは合格率に差があります。
| 試験区分 | 合格率 | 受験者数 |
|---|---|---|
| 統一試験(第173回) | 15.1% | 4,821名 |
| ネット試験(2026年4〜6月) | 31.9% | 33,659名 |
統一試験は2026年6月14日実施分、ネット試験は2026年4月から6月の集計です(商工会議所公表データ)。合格率には2倍以上の開きがあります。
合格率に差はありますが、履歴書に書かれるのはどちらも「日商簿記検定2級」です。採用する側が、どちらの方式で取得したかを気にする場面はほとんどありません。取りやすい方式で受けることに問題はないと考えています。
なお合格率は回ごとに変動します。最新の数値は商工会議所の受験者データでご確認ください。
FPはどう見られているか
評価は目指す職種による
FPについては、はっきり言えば経理職を目指すうえでの優先度は簿記より下がります。
FPが強く評価されるのは、保険や資産運用の相談を扱う職種です。経理の求人でFPを条件に挙げているものは、簿記と比べるとかなり少なくなります。
それでも取る意味があるとすれば
転職の武器としてではなく、知識を体系的に整理する目的なら価値があります。
- 年金や社会保険の仕組みが分かるため、給与に関わる業務の背景が理解できる
- 相続や不動産の知識は、税理士事務所であれば話が通じる場面がある
- 自分自身のお金の判断にも使える
筆者自身もFP2級を持っていますが、転職で有利になったという実感より、知識が増えたことの価値のほうが大きいというのが正直なところです。合格証書は、その確認として持っているという位置づけです。
FP2級は、3級に合格していなくても実務経験が2年以上あれば受検できます。会計事務所の職員や経理担当者はこの経路を使える可能性があります。詳しくは別の記事で解説しています。
どちらを先に取るべきか
経理を目指すなら、順序は明確です。
| 優先度 | 資格 | 理由 |
|---|---|---|
| 高い | 日商簿記2級 | 応募条件に挙げられることがあり、選択肢に直結する |
| 状況による | 日商簿記3級 | 未経験なら、まず行動の証明として取る価値がある |
| 余裕があれば | FP2級 | 経理職では評価が限定的。知識の幅を広げる目的なら有効 |
未経験から始める場合
まったくの未経験であれば、3級から入って基礎を固めるほうが結果的に早いことが多いです。2級はいきなり挑むと工業簿記でつまずきやすく、途中で止まってしまう人がいます。
資格について注意したいこと
- 資格を取ること自体が目的になり、実務から遠ざかる
- 複数の資格を並行して学習し、どれも中途半端になる
- 資格があれば採用されると考え、他の準備をしない
資格は入口を広げるものであって、採用を約束するものではありません。実務で何ができるかとあわせて見られます。
「自分の状況ならどれから取るべきか」「今の経歴で応募できる求人はあるか」——迷っている部分について、個別にご相談いただけます。
本記事は税理士事務所での実務経験に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の採用結果を保証するものではありません。求人の応募条件は企業ごとに異なりますので、応募先の情報をご確認ください。
合格率は執筆時点で公表されている数値です。回ごとに変動しますので、最新の情報は商工会議所の受験者データでご確認ください。
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