税金の相談に答えると逮捕!?税理士法に用注意
今回は、税理士に認められている独占業務について解説します。
これがどういうものかというと、税理士資格を持っている者しか出来ない業務という事で、持っていない人が行うと税理士法違反なので逮捕されることがあります!
知らずに違反していた!なんて事もあるかもしれません。実際に逮捕者も出ているで気を付けましょう。
これからの時代、税理士業務も機械化が進み仕事が減る可能性がありますので、業務独占については厳しく主張してくるかもしれません。
一部は例題なんかも載せながら解説していきます。
税理士の独占業務は3つ
まずはここを抑えましょう!
税理士の独占業務は3つあります。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
特に問題になりやすいのが2.税務書類の作成と3.税務相談です。
1.税務代理は、税務調査の立会や税務署等に代わりに意見するなどの業務ですので、ほかの2つより専門的な知識が必要です。
知らずにやってしまった!というよりはダメだと分かった上でやっている可能性が高いですね。
税務代理権限証書という書類の提出も必要ですので、無資格者であれば、そもそも主張や立ち合いを認めてもらえないかと思いますが…。
確定申告に注意!税務書類の作成
この業務で主になるのは申告書の作成です。
法人であれば法人税申告書や消費税申告書など。
個人であれば、確定申告書類がメインですね。
1番注意が必要なのは個人の確定申告をタダでやってあげた場合です。
タダなら大丈夫!という訳ではありません。お金をもらっていなくても申告書を作っただけで違反なのです。
ですが、国税庁の記述をみると「業とすること」という記載がありますので、一回だけであり反復継続の意思がなければ違反とされない可能性はあります。
「税理士業務」とは、法第2条において、他人の求めに応じ、租税に関して、次に掲げる事務を行うことを業とする(注1)ことをいう旨規定されています。
「業とする」とは、税務代理、税務書類の作成又は税務相談を反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないこととされています(基通2-1)。
自分も頼まれたりするのですが、忙しいなどの理由で断っています。
そして税務署や商工会議所で相談してみたらどうかと伝えています。もちろん税理士さんでも構いません。
あくまで申告書等の作成がダメなのであって、日々の記帳業務や経費の集計のお手伝い等は問題ありません。
法人の申告書に関しては外部の無資格に頼む事は通常ないと思いますし、受けてくれないと思います。
そもそも申告書等の作成、知識のある経験者でなければ作成も難しいため、やっている方がいるのであれば税務代理と同様で違反だと分かっているはずです。
ただ、法人と雇用関係のある人が申告書を作成する場合は問題ないようです。
これは法人から見て従業員が他人ではないので、法人自身が申告を行ったとみなされるらしいです。
※特に根拠条文等が見つからなかったので、少し曖昧な書き方になっています。何か確証が得られれば追記します。
例題①(確定申告)
ここからは例題を載せていきますので違反になるかどうかを判断してみてください。
※どの例題も税理士資格は有していないものとします。
例題①
友人が国税庁のホームページで作成している確定申告書の医療費控除の部分だけを入力してあげている。
印刷や提出は本人がやっていてそこは絡んでいない。
時間もかからないので毎年やってあげていて、お金は貰わずご飯を奢ってもらう。
→税理士法違反
印刷や提出は本人でも、作成に関して一部でも他人がやっているためNG。
また、毎年やってあげていることから反復継続の意思があるとみなされます。報酬の有無は関係ありません。
例題②(記帳代行)
例題②
父親が個人事業主のため、日々の記帳代行業務をして毎月1万円ほどもらっている。
内容は現金出納簿の作成や通帳の入力をしている。
確定申告書に関しては、そのデータをもとに父親が自分で作成・提出している。
→税理士法違反ではない
記帳代行業務は税理士の業務独占ではないので、報酬をもらっていようが違反にはなりません。
※2021年7月15日 追記
消費税の課税・非課税などの判断や経費になるかの判断が必要な場合は、税務相談にあてはまる可能性があります。記帳代行で逮捕の前例はないようなので、グレーゾーンといったところでしょうか…?
例題③(確定申告②)
例題③
友人が競馬で大儲けし、その年の確定申告を2万でやってくれないかと頼まれて申告書の作成をしてあげた。
今後は競馬やギャンブルはしないと言っているので、翌年以降は確定申告をすることはなさそう。
それに思ったより手間がかかって面倒だったので翌年以降は確定申告の必要があってもしてあげる気はない。
→税理士違反にならない可能性が高い
内容的には税務書類の作成になるので違反なのですが、お金を貰っていても反復継続の意思がないことや、この1回だけという事であれば違反ではないという判断になると思います。
一番多いのがコレ!税務相談
税務相談とは、簡単にまとめると税金の計算に関する相談に応ずることとなっています。
知らなくて違反している人が多いのはこれでしょうね。
個別に税額の計算などの相談などに応じることがアウトなのですが、一般的な税金の説明や申告書の書き方などに関する、国税庁や税務署などが公表している資料等を渡してあげることは問題ありません。
すこし曖昧な点があるのですが、税金の説明もやり方によっては税理士法違反になる場合もあるそうなので、個別相談は極力受けないほうがいいでしょう。
例題①(保険)
例題①
友人から保険について相談があると電話があり、終身保険に入ろうと思っているんだけど税金って安くなるのかな?と聞かれた。
生命保険控除を受けられるだろうから安くなるんじゃない?とだけ答えた。
それしか言われておらず具体的な内容は聞いていない。
→税理士法違反ではない
これは税金の計算に関しての相談ではなく、あくまで生命保険控除を受けられるから安くなるよと答えているだけなので問題ありません。
例題②(確定申告)
例題②
旦那が確定申告書の書き方がわからなかったため、税務署から資料をもらってきた。
その資料の解説をしてあげながら旦那が確定申告書を作成した。
どこに何を書くかなどを教えただけで記入したりはしていない。
→税理士法違反ではない
これも違反ではないでしょう。
あくまで申告書を作成したのは旦那であり、妻は税務署から預かった資料を渡して、解説してあげただけなので税務相談にはなりません。
例題③(経費)
例題③
取引先の個人事業主が請求書をみながら、この金額が経費に入ったらどれくらい税金が安くなるか聞いてきた。
全部の収入が分からないので正確ではないが、該当するであろう所得税率をかけて安くなる所得税の金額を教えてあげた。
→税理士法違反になる可能性がある
あくまで概算であり、一つの請求書だけを抜き出してこのくらい安くなると伝えるのは税務相談に当たらない可能性が高いとは思います。
ですが計算はしているので、毎回税額を計算して教えてあげたりすると税理士違反だと判断される可能性もあります。
例題④(所得税の計算)
例題④
個人事業主の父親が、毎年6月くらいになると概算で年間の売上と外注費を計算してきて、今年の税金がどのくらいになるか計算して欲しいと頼まれる。
その他の固定費等をこちらで計算して、所得税と消費税だけを計算している。
身内なのでお金は貰っていない。
毎年そこまでの誤差は出ないのでかなり自信がある。
→税理士法違反
無料だろうと毎年、税額の計算をしているのであれば税理士法違反になるはずです。
例題③と違い一つの金額等ではなく、概算ですが固定費等も足して全体の利益からの計算なので税務相談と判断されるでしょう。
税理士法違反まとめ
どうだったでしょうか?
少しヒヤッとされた方もいるかもしれませんね。
自分も書いている途中で危なかったなぁ…と思う点がありました。
確定申告や税金に詳しい方になると、確定申告を手伝って欲しいや、これは税金がどのくらい安くなるのかな?など聞かれることが増えるかと思います。
安易に答えると税理士法違反になるかもしれませんので気を付けましょうね。
ご自身で税金の勉強をされるのは大いに役に立つと思います。ですがそれは、税理士資格を持たなければ自分の事にしか使えないという事になります。
特に税理士以外の資格を持たれている方は注意してくださいね。
今回、よく出てきた確定申告について説明している記事もあるので良かったらどうぞ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。