税理士事務所スタッフ歴10年

経理の仕事と転職を、
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「未経験でも入れる?」「簿記は本当に必要?」「年収はどのくらい?」
求人票では分からない経理のリアルを、多くの会社の経理を見てきた立場から解説します。

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税理士事務所スタッフの1日の仕事の流れ|実務10年が解説

税理士事務所スタッフの1日の仕事の流れ|実務10年が解説

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「税理士事務所で働く」と聞いても、中で何をしているのかは外からほとんど見えません。求人票には「記帳代行」「巡回監査」といった言葉が並びますが、それが1日のどのくらいを占めるのかまでは書かれていないのが普通です。

先に結論

税理士事務所スタッフの1日は、「手を動かす作業」と「人に確認する作業」の2つでほぼ埋まります。そして時間を食っているのは、判断が必要な難しい仕事ではなく形式が決まっている繰り返しの作業のほうです。ここを知っておくと、面接で「自分ならどこを効率化できるか」を具体的に話せるようになります

この記事では、税理士事務所で10年働いてきた立場から、ある1日の流れを時間を追って紹介します。あわせて、それぞれの作業のどこに効率化の余地があるかを作業ごとに書き添えます。1年を通した流れは税理士事務所の1年の仕事スケジュールで解説しています。

先に断っておくこと

ここに書く時間割はあくまで一例です。事務所の規模、担当件数、繁忙期かどうかで1日の姿は大きく変わります。「毎日この順番で動く」という意味ではなく、こういう種類の作業で埋まっているという読み方をしてください。

午前:数字を作る時間

多くの事務所で、午前は集中が要る作業に充てられます。電話や来客が比較的少ないためです。

9:00 出勤・メールと郵便の確認

顧問先からの質問メール、税務署からの通知、金融機関の書類などを確認します。この時点で「今日中に返さないといけないもの」を仕分けます。

効率化の余地: 質問には毎回似たものが多くあります(「この領収書は経費になるか」「納付書はいつ届くか」など)。返信の型を用意しておくだけで、1件あたりの時間が変わります。よく来る質問を分類して整理する作業は、AIが得意なところです。

9:30 記帳代行(きちょうだいこう)

記帳代行とは、顧問先から預かった領収書・請求書・通帳のコピーをもとに、こちらで仕訳を入力していく仕事です。事務所によっては、1日のかなりの時間がここに費やされます。

紙の資料をめくりながら、日付・金額・勘定科目を会計ソフトに入力していきます。件数が多い顧問先だと、月に数百件になることもあります。

効率化の余地: ここがいちばん時間が溶ける作業です。同じ取引先・同じ内容の仕訳が毎月繰り返されるため、形式が決まっている=自動化と相性がよい領域です。データで受け取れる部分をデータのまま処理する、繰り返しの仕訳に規則性を見つける——このあたりは未経験者でも提案しやすい切り口です。

11:00 通帳・残高の突き合わせ

入力した帳簿と、実際の通帳残高が合っているかを確認します。1円でも合わなければ原因を探します。合わない理由は、入力漏れ・二重入力・日付のずれなど様々です。

効率化の余地: 突き合わせそのものは判断がほとんど要らない照合作業です。差額がどこで生じているかを機械的に絞り込む工程は任せやすく、人がやるべきなのは「なぜズレたのか」を考える部分だけです。

午後:人と関わる時間

午後は顧問先とのやり取りが増えます。訪問がある日は、半日がそこに使われます。

13:00 顧問先への訪問(巡回監査)

巡回監査(じゅんかいかんさ)とは、顧問先を定期的に訪問し、帳簿の内容を確認しながら、経営者から状況を聞き取る仕事です。事務所によって呼び方や位置づけは異なります。

資料を預かる、前月の数字を説明する、質問に答える——といったことをその場で行います。移動時間も含めると、1件で半日近くかかることもあります。

効率化の余地: 訪問そのものは人がやる仕事ですが、持っていく資料の準備は別です。毎月同じ形式の資料を作るなら、作成の手順は固定できます。説明の下書きを用意しておくだけでも、当日の負担は変わります。

15:00 資料の督促(とくそく)

期日までに資料が届かない顧問先へ、連絡して依頼します。地味ですが、これが滞ると後工程が全部止まります。決算や申告の期限は動かせないため、資料が遅れるほど後半が苦しくなります。

効率化の余地: 誰にいつ何を依頼したかを記録して追いかける作業です。人の記憶に頼ると抜けます。一覧で管理し、期日が近いものを自動で拾い上げる仕組みがあるだけで、抜け漏れが減ります。面接で話しやすい題材でもあります。

16:00 月次資料の作成

試算表(しさんひょう)など、顧問先に渡す資料をまとめます。数字を並べるだけでなく、前月と比べて大きく動いた項目にコメントを添えることも多くあります。

効率化の余地: 資料の体裁を整える部分は完全に定型です。一方で「なぜこの数字が動いたのか」を考える部分は人にしかできません。ここを分けて考えられると、効率化の話に説得力が出ます。

17:00 質問対応・翌日の準備

日中に受けた質問のうち、調べる必要があったものを確認して返します。判断に迷うものは、税理士に確認してから回答します。

効率化の余地: 調べものの取っかかりを早くする使い方は有効です。ただし税務の判断をAIの回答のまま顧問先に伝えるのは危険です。根拠を必ず原典で確認する、という前提はどれだけ効率化しても変わりません。

1日を振り返ると、何に時間が消えているか

ここまでの流れを、性質で分けてみます。

作業の性質 具体例 効率化のしやすさ
形式が決まっている 記帳代行、突き合わせ、資料の体裁づくり 高い
記録して追いかける 資料の督促、期日の管理 高い
調べて判断する 税務の質問対応、数字が動いた理由の分析 低い(下調べのみ)
人と話す 訪問、聞き取り、説明 低い

注目してほしいのは、上2つが1日のかなりの割合を占めていることです。難しい判断より、形式が決まった繰り返しの作業に時間が吸われている——これが事務所の実態です。

これが面接で効く理由

ここまで読むと、面接で話せることが具体的になります。「効率化できます」という抽象的な話ではなく、「記帳のこの部分は形式が決まっているので、こう減らせるかもしれません」と、作業を名指しできるようになるからです。

未経験でも、業務の中身を分かったうえで話していることは伝わります。逆に、中身を知らずに「AIで効率化できます」とだけ言うと、現場を知らない人と受け取られます。

ただし、伝え方には順番がある

この切り口が効くかどうかは面接官によります。現場の非効率を実感している人には刺さりますが、今のやり方を変えたくない相手には響きません。相手の反応を見てから踏み込むのが安全です。詳しくは経理未経験の転職に年齢は関係あるのかで解説しています。

向いている人・つらく感じる人

10年見てきた実感として、事務所の仕事が合うかどうかは性格よりも「何を苦にしないか」で決まる印象があります。

  • 複数の顧問先を並行して持てるか——1社だけを深く見るのではなく、何社もの状況を切り替えながら進めます
  • 期日から逆算して動けるか——申告期限は動かせないため、逆算の習慣がある人は強いです
  • 細かい確認を面倒がらないか——1円合わないことを放置しない姿勢が求められます

一方で、同じ作業の繰り返しが続くことを苦痛に感じる方もいます。だからこそ、その繰り返しを減らそうとする人が事務所では貴重です。ここは未経験から入る方にとって、経験年数と関係なく評価されうる部分です。

無資格でもできる範囲に注意

事務所スタッフは税理士資格がなくても働けますが、税理士だけができる仕事は法律で決まっています。入所前に線引きを知っておくと安心です。税理士法に注意|無資格でどこまでできるかで解説しています。

この記事のまとめ
POINT 01
午前は記帳や突き合わせなど集中が要る作業、午後は訪問や質問対応に充てられることが多い
POINT 02
いちばん時間が溶けるのは記帳代行。形式が決まっており自動化と相性がよい
POINT 03
資料の督促は地味だが、滞ると後工程が全部止まる重要な作業
POINT 04
時間を食っているのは難しい判断ではなく、形式が決まった繰り返し作業
POINT 05
業務の中身を知っていると、面接で作業を名指しして効率化を提案できる
POINT 06
繰り返しを減らそうとする人は、経験年数と別の軸で評価される

1日の姿が分かると、求人票の「記帳代行あり」「巡回監査あり」といった言葉が、実際にどのくらいの時間を意味するのかが読めるようになります。年間を通した忙しさの波については、税理士事務所の1年の仕事スケジュールをあわせてご覧ください。

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本記事は筆者の実務経験にもとづく一般的な情報提供であり、すべての税理士事務所に当てはまるものではありません。業務の進め方・呼称・担当範囲は事務所ごとに大きく異なります。応募先の実態については、面接等でご確認ください。

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Posted by aile